baobabの音楽に出会ったのは、大学生の頃に福岡・箱崎の本屋『ブックスキューブリック』だ。店内でかかっていた音楽に一目惚れし、思わず店員に尋ねた。その後すぐに通販でCDを購入。その一枚が今回おすすめしたい『aruk』(2010 CSF Records)である。
baobabは古楽器製作家でもある松本未來とMaikaと兄妹ユニットで、大分で活動を続けて今年が結成20年となる。どの曲も木のあたたかさを感じる楽器の音と、深く澄んだ歌の調和が美しい。クラシックや現代音楽とは違う新しい存在でありつつ、風や夕日、そして森という、どこか懐かしい原風景を思い起こさせてくれる。忙しい都会の日々で、急に自然が恋しくなる気持ちに似ている。
多忙な人が言う「人間らしい生活がしたい」という言葉があるが、それは田舎に住むとか農作業をするという意味よりも、「ぼーっと何も考えずに夕日を眺める」とか「食事のひとつひとつを美味しいと思う」みたいな、瞬間瞬間において自分の感情と対話する余裕があるかどうかが大きいんだろうなと思う。だからこそ自分を取り戻せるような音楽は大切な存在として、長く、ときどき聴くことになっていくのだ。
そんな難しいことを考えずとも、baobabはお洒落な気持ちになりたい読書時間にぴったりの音楽だ。ちょっといいコーヒーや焼き菓子と共に部屋で流せば、たちまち至福の「自分のための時間」になる。音楽に読書に、心が文化的栄養に喜びキラキラし始めるのを感じられる。最新作の『かぜつちうた』も素晴らしいので、ぜひ一緒に聴いて欲しい。
アーティスト情報
baobab
2004年結成。Maika (歌 / fiddle) 、古楽器製作家でもある松本未來を中心としたアコースティックサウンドを奏でる兄妹ユニット。結成当初より大分県山香町を活動の拠点とし、小さな場から発信する音楽表現、ものづくりや土に根ざした生活の中から生まれる音づくりを続け、二人の音楽的ルーツであるトラッド、古楽、フォークを自由なアレンジとスタイルで生み出している。2007年のニュージーランド全20公演の海外ツアーを経て4枚のアルバムをリリース。自主制作でつくられたアルバムはインディーシーンでロングセラーを記録。CM、映画への楽曲制作も行う。これまでに数多くのミュージシャンとも共演を重ねる。カテリーナの森で、森全体を自らデザインし、自然環境と人、音楽やアートと暮らしの融合をテーマにした音楽祭”Sing Bird Concert"を14年間主催してきた。その活動は多くの共感者を集め、地域からの表現発信の核となっている。写真家・川内倫子とともに映像作品を制作。2019年、baobab+haruka nakamura名義で「カナタ」を発表。2022年5月、スコットランドツアーを敢行。
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Tumbling Towards A Wall
Ulla
厭世的なのに人肌も同時に感じて、水の中で空を眺めているような気持ちになります。
aus
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death has light
別野加奈
圧倒的な白い光の中で、生命としての熱や発光を見つめ、受け止めてくれる。
石松豊
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Felis Catus And Silence
LEO TAKAMI
人生観というか、これまで積み重ねてきた音楽的な探索や修練が見えるんですよね。
Watasino
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The Wind of Things
M. Sage
様々な楽器とフィールドレコーディングの音が、優しい音色のレイヤーによって紡がれていて、音楽とも音ともとれる曖昧さに癒されるところが好きですね。
Tomotsugu Nakamura
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ARTIST 8
2024.12.05
ausが茶室でインスタレーションを行う理由。ずっと大切にしてきた「音楽との出会い方」への探究心を語る
楽曲作品やイベント制作、レーベル・FLAUの運営と並行してインスタレーションを行う理由
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REPORT 3
2024.12.02
本の読める店 fuzkueで4時間超のBGM演奏。Tomotsugu Nakamura出演『読書と静かな即興演奏 vol.2』レポート
2024/11/9開催『Music For The Story III – 読書と静かな即興演奏 - vol.2』のイベントレポート
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COLUMN 3
2024.11.24
「読書と静かな即興演奏 vol.2」参加者が選ぶ「読書のための音楽」宮内優里、Tenniscoatsなど
Tomotsugu Nakamura出演のイベント参加者がおすすめする音楽を紹介
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穏やかな音楽を
『Ucuuu』は、穏やかな音楽のある生活風景を紹介するAmbient Lifescape Magazine(アンビエント・ライフスケープ・マガジン)です。
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