odolの『DISTANCES』(2023 UK.PROJECTS)をおすすめします。もともと6人編成だったodolが、3人体制になって初めてリリースした、新しいステージの第一歩となるアルバムです。
図書館には「日本十進分類法」という本の分類法があり、「音楽」は「芸術」に含まれます。odolは、「バンド」というより「アーティスト」と呼びたくなるグループで、「やっぱり音楽を包括しているのは芸術なんだ」と改めて思います。
そんな「odolらしさ」は、体制が変わっても揺るがず、むしろ余計なものが削ぎ落とされたことで、より核となる部分が際立っているように思います。変わらないために変わり続ける。その姿勢に触れると、自分も少し頑張ろうかな、と思えるんです。
落ち着いて、ひと呼吸おきたいときによく聴いています。このアルバムを聴くことで深呼吸できるような感覚があり、ひと息ついて「また頑張ろう」と思える。そんなふうに、一度立ち止まり、自分の現在地を見つめ直すきっかけをくれるアルバムです。
odolの森山さんはソロで『アンビエント森山』というイベントを開催されており、先日は写真家・濱田英明さんの展示BGMも手がけていました。
それまでアンビエントの聴き方がよく分からなかったんですが、その展示に行ったとき、アンビエントの魅力が少しわかったような気がしました。聴くものではなくて、「ただそこにあるもの」のように感じたんです。
4月19日に多摩市立中央図書館で開催されるイベント「読書のためのBGM演奏」も、アンビエント的な音楽の魅力が伝わる機会になればいいなと思います。「アンビエントのような音楽はよく分からない」という人が、「こういう音楽があっても悪くないな」と感じてくれたら嬉しいですね。
アーティスト情報
odol
福岡出身のミゾベリョウ(Vo.)、森山公稀(Pf./Syn.)を中心に2014年東京にて結成。ジャンルを意識せず、自由にアレンジされる楽曲には独自の先進性とポピュラリティが混在し、新しい楽曲をリリースする度にodolらしさを更新している。近年は、アース製薬「温泡」、映画「サヨナラまでの30分」、UCC BLACK無糖、radiko、JR東海など、様々な企業やクリエイターからオファーを受け、立て続けに書き下ろし楽曲を提供している。東京藝術大学出身の森山公稀が全楽曲の作曲を担当。ソロ名義でも舞台や映像作品の劇伴、また他アーティストへの楽曲提供、プロデュースなども行なっている。
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Small Winters
Taylor Deupree
横で小川がちょろちょろ流れているような、邪魔はしないけれど、そこにあると安心する音楽ですね。
宮内優里
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オーロラになれなかった人のために
スピッツ
自分の中にあるメロディのルーツであり、ポップスの定義を決定付けた存在です。
Ryota Mikami
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Soft Power
Ezra Feinberg
自然の光を浴びているときの感覚というか、ニュートラルな気分になる気がします。
Syotaro Hayashi
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Screws
Nils Frahm
終始穏やかで、冬の朝の陽だまりの中でまどろんでいるような感覚を味わえます。
Yoko Komatsu
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ARTIST 11
2025.04.08
宮内優里が「読書のためのBGM演奏」で届けたい、穏やかな時間。子どもからお年寄りまで「ちょうどいい音」を目指して
10年近く続けている読書BGM演奏。その背景にある「ゆるやかな探求心」に触れる
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PROJECT 10
2025.03.25
「おしゃべりOK」で広がる図書館の可能性。多摩市立中央図書館が目指す「公共の未来」
BGMに環境音が流れ、音楽イベントが開催される新発想の図書館
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REPORT 5
2025.03.18
春めく新月、透明なピアノの余韻に包まれて ― Yoko Komatsu出演『読書と静かな即興演奏 vol.4』レポート
2025/2/28開催『Music For The Story III – 読書と静かな即興演奏 - vol.4』のイベントレポート
ABOUT
生活風景に
穏やかな音楽を
『Ucuuu』は、穏やかな音楽のある生活風景を紹介するAmbient Lifescape Magazine(アンビエント・ライフスケープ・マガジン)です。
アンビエント、エレクトロニカ、インストゥルメンタル、アコースティックギターやピアノなど、「穏やかな音楽」は日常にBGMのように存在しています。
木漏れ日のように、日常に当たり前のようにありながらも強く認識はせず、でも視線を向けると美しさに心癒されるような「穏やかな音楽」の魅力を多面的に発信しています。
