おすすめはNils Frahmの『Screws』(2012 Erased Tapes Records)ですね。これはニルスの初期の作品で、左手の親指を怪我したときに、9本の指で制作されたアルバムです。
ニルスを初めて聴いたのは、その前作『Felt』でした。タワーレコードの試聴機で聴いたとき、私の中で「ポストクラシカル」という概念が一気に広がり、とても衝撃を受けました。非常に影響を受けたアーティストですね。
『Screws』は終始穏やかで、冬の朝の陽だまりの中でまどろんでいるような感覚を味わえます。起きぬけの、まだぼうっとしているときに聴きたくなりますね。シンプルな曲調で統一されていて、音の響きや空気感が心地よいです。発売当時はよく聴いていて、その頃に生まれた感覚は、今もなお心に残っています。
普段は真夜中に音楽を聴くことが好きです。街が寝静まった中で聴くと、音の繊細な響きを、とても深いところで感じられるんです。静けさの中では、音楽の終わり際や、録音が終わる瞬間の空気感まで聴こえてきます。
こういった音の余韻が好きで、ピアノを弾くときも、音をぽんと鳴らした後に、その余韻が長く伸びるように弾くことが多いです。最後の最後までその響きを聴いて、静かに演奏を終えるのが好きです。
アーティスト情報
Nils Frahm
ベルリンを拠点に活動するドイツのミュージシャン、作曲家、レコード・プロデューサー。
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PROJECTIONS OF A CORAL CITY
CORAL MORPHOLOGIC & NICK LEON
柔らかい音像の中を、クラゲやサンゴになって流れに身を委ねているような、海の静けさやゆらめきを感じさせる音楽ですね。
Moskitoo
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Tumbling Towards A Wall
Ulla
厭世的なのに人肌も同時に感じて、水の中で空を眺めているような気持ちになります。
aus
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death has light
別野加奈
圧倒的な白い光の中で、生命としての熱や発光を見つめ、受け止めてくれる。
石松豊
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aruk
baobab
自分を取り戻せるような音楽は大切な存在として、長く、ときどき聴くことになっていくのだ。
石松豊
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COLUMN 4
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