ギタリストのEzra Feinbergが昨年リリースしたアルバム『Soft Power』(2024 Tonal Union)をよく聴いています。ハープ奏者のMary Lattimoreをはじめ、さまざまなアーティストが参加している作品です。
穏やかで、光が乱反射しているようなサウンドを感じる一方、単に綺麗な印象で終わらず、時折カオスに感じる瞬間もあります。アンビエント的な要素を持ちながらも、ピアノの旋律やエレクトロ的な質感が際立つ場面もあり、聴くたびに異なる印象を受けるのがおもしろいですね。
最近は、複数のレイヤーが重なり合うような楽曲が特に好きなのですが、このアルバムにもそうした要素が散りばめられています。ギターのアルペジオやリフから始まり、フルートやクラリネットが加わって牧歌的な雰囲気になったり、幾何学模様を感じる場面があったり。都市の中にある自然や庭園のイメージも浮かびます。
ジャケットも印象的で、トピアリー(人工的に形を整えた植栽)の写真が使われています。カリフォルニアの住宅建築では、こうした道の途中に”もふっと”緑があるような、ユニークな植え込みが多く見られるそうで、その景観の雰囲気も音楽とリンクしています。
晴れている日中、駅に歩いて向かっているときなどに聴きたくなりますね。聴いていると、自然の光を浴びているときの感覚というか、ニュートラルな気分になる気がします。
アーティスト情報
Ezra Feinberg
サンフランシスコのサイケデリック集団CITAY(DEAD OCEANS / IMPORTANT RECORDS)の元メンバー。
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オーロラになれなかった人のために
スピッツ
自分の中にあるメロディのルーツであり、ポップスの定義を決定付けた存在です。
Ryota Mikami
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Screws
Nils Frahm
終始穏やかで、冬の朝の陽だまりの中でまどろんでいるような感覚を味わえます。
Yoko Komatsu
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PROJECTIONS OF A CORAL CITY
CORAL MORPHOLOGIC & NICK LEON
柔らかい音像の中を、クラゲやサンゴになって流れに身を委ねているような、海の静けさやゆらめきを感じさせる音楽ですね。
Moskitoo
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Tumbling Towards A Wall
Ulla
厭世的なのに人肌も同時に感じて、水の中で空を眺めているような気持ちになります。
aus
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