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人も音楽も、本来は自然そのもの。「心の動き」を奏でるYoko Komatsuが、お香付きアルバム『あえか』に込めた想い

2025.02.05

撮影:Ryoko Nezu

水の波紋や風に揺らぐ葉のように、柔らかで澄んだ音色を奏でるピアニスト・Yoko Komatsu。その音楽は、本の世界を彩る背景音として「読書中にも聴きたい」という声が多く届き、2月28日にはUcuuu主催のイベント「読書と静かな即興演奏」に出演する。

最新作『あえか』は、五感で音楽を楽しむユニークな試みとして「お香」が付属したアルバムだ。その制作背景を伺うと、幼少期から持っていた自然への関心、8年間運営してきた東京・尾山台のピアノアトリエ・Flussへの想い、そして母になることで得た「愛の本質」への新たな視点など、彼女の音楽観を形づくる多くの要素が浮かび上がってきた。

自然と調和するように、自然体でいること。心の奥に広がる風景に触れてみること。Yoko Komatsuの言葉から、「生きていく上で大切にしたい心の状態」について、静かに考えてみよう。

小さい頃から、なぜか愛というものを知りたいと思っていて…

—昨年3月にリリースされたアルバム『あえか』は、どのようなきっかけで生まれたのでしょうか。

2019年に前作をリリースした後、妊娠・出産を経て、新しい楽曲が溜まってきた時期に、ちょうどFlussを閉じることを考えていたんです。だから、Flussで録音する最後のアルバムを作りたいと思いました。

ピアニスト/作曲家のYoko Komatsu。福島県出身。東京・武蔵野音楽大学大学院修了し、クラシックピアノを研鑽した後、ソロ作品を複数リリース。2024年3月23日には3rdアルバム『あえか』をリリースした。根本理恵のコンサートやTK(凛として時雨)の楽曲にピアニストとして参加するなど、コラボレーションも数多く行っている。2016年より運営していたピアノアトリエ・Flussは2024年5月に幕を閉じ、山梨へ移住。現在は自然の中で音楽と向き合いながら、日々を過ごしている。(撮影:Ryoko Nezu)

2024年の春に山梨へ引っ越すことが決まっていたので、環境が変わる前に、今の感覚のままで作りたいと思って。30代最後の音を残したいという気持ちもあったかな。音楽には鮮度があると感じているので、東京にいるうちに頑張って作りました。

—『あえか』というアルバム名には、どんな意味が込められているのでしょうか?

もともと音楽を作るとき、先にテーマを決めるのではなく、何かのイメージに引き寄せられて湧いてくることが多いんです。特に自然からの影響が大きく、たとえば美しい景色を見ると、心が震えて、ふわっと音楽が生まれてきます。

2024年3月23日にリリースされたYoko Komatsuの3rdアルバム『あえか』。『あえか』とは、「はかなげで美しいさま」という意味の言葉。コンセプト文章は以下のように書かれている。「自分の心へとつながってゆくこと。それは、水や光、風や草花などの自然の美しさに触れることが鍵となることを知り、そのような気配として音楽がありますようにと願いをこめた今作。今、あなたが生きていることに、ささやかな祝福をおくります。」

自然って、ただ存在しているだけなんですよ。木や花など、地球にはたくさんの植物たちが生きているけれど、人間に直接手を差し伸べたり、音として言葉をかけたりはしてくれない。でも人間は、生命力に満ちた自然から大きなエネルギーを受け取り、見えないメッセージを受け取っている。地球に生きる生命のひとつである「人」もまた、自然のようにありのままでいることが最も輝けるのかなと、そう思ったんです。

葉が重なる隙間から見える太陽の光や、風に揺られて葉が鳴る音、水辺に差し込むキラキラした光。意識しないと気づかないような、ささやかな存在なんだけど、偶然の、ありのままの美しさに心が動かされる。自分の音楽もそうありたいと思ったんですよね。だから、アルバム名を「光りや音、自然などが、はかなげで美しい」という意味を持つ日本語の『あえか』にしました。

これまでの時代は「誰かのため」を優先して、自分を犠牲にしてしまう場面も多かった気がします。でも自分が満ちていない状態で動こうとすると、いつか壊れてしまう。自分自身を抱きしめ、心が満ちていることが大事なのかなと。植物たちがその命を精一杯生き、輝いていること自体が周囲を照らすように、人もまたそうなのだと思うようになりました。

アルバム『あえか』の1曲目『青く透明に香る』。三軒茶屋の本屋・twililightの店主・熊谷充紘が2022年に企画したイベントで、詩人・菅原敏の詩集『季節を脱いで ふたりは潜る』の朗読に合わせて生まれた楽曲。4曲目の『猫女のプレリュード』も、翻訳家・柴田元幸が朗読した短編小説に合わせて生まれた楽曲で、Yoko Komatsuは「詩や言葉から音楽を引き出してもらうのも心地よい」と語っている。

あとは、妊娠・出産の影響も大きかったです。私は小さい頃から、なぜか愛というものを知りたいと思っていて…。きっと両親からも見えない愛情をたくさんもらっていたんですけど、幼く未熟なわたしにはうまく受け取れず、30代になってもよく分からないままで。それで息子にね、色々教えてもらったなって…。(涙ぐみながら)

なんか泣けてきちゃった。子どもから学ぶことってすごく多くないですか?

—そうですね。命の尊さもそうですし、見ている世界とかピュアな気持ちとか、すごくハッとさせられることが多いです。

そうそう。赤ちゃんって自然のままの姿そのものじゃないですか。人って、自然と変わらないんだと思ったんです。人間として育っていくうちに、ありのままでいることを忘れちゃうんだなって。

だけど、人間だからこそ感じられることもあって。触れ合うことや体温を感じること、地球の空気が振動することで生まれる音を聴けること、目で美しい色や景色を見られること。いろんな味が楽しめて、いろんな感情が生まれて…。人間に生まれたことって、すごく奇跡だなと思ったんです。

アルバム『あえか』の6曲目『あえか』は、妊娠中で臨月だった2021年1月に生まれた。Flussのピアノにフェルトを挟み、ささやかな音の中で弾いた楽曲だという。

子育てをしていく中で、「息子そのものが光であり、愛なんだな」って気づいたんです。愛って、あげるとか、もらうとか、そういうものではなくて、感じるものというか、既にあることに気づいていくことなんだと思います。そう思うようになってからは、「人類みんなが愛の存在なんだ」と感じるようになりました。

音楽も、とても自然的なものなんですよ

—前作『cosui』でも水がテーマになっていましたが、自然は昔から好きなんですか?

水は小学生の頃から好きでした。卒業文集にも「透明なものが好き」と書いていたんです。東京に来てからは、特に多摩川が私にとって大きな存在となりました。多摩川から学んだことや、救われたことは数えきれないほどあり、心から感謝しています。

2019年にリリースされた2ndアルバム『cosui』のトレーラー。水に惹かれる気持ちや、深く潜りたい感覚が元になって生まれたという。

創作するときは、必ず自然に触れに行きます。というか、自然がないと音楽ができないんです。自然に触れると、自分がリセットされるというか、本来の自分に戻るような感覚があって。多摩川の川辺を歩いていると、気づいたらイメージが湧いてくるんです。

—それは音楽的なアイディアですか?

音楽的というよりも、生きていく上で自分が大切にしたい気持ちのようなものかな。心で全てを感じられる状態だと、音楽が降りてくるんです。頭が思考でいっぱいな状態だと、音楽はやってこなくて。

福島県出身のYoko Komatsuが多摩川と出会ったのは、武蔵野音楽大学大学院に通っていた23歳のとき。冬の綺麗な夕暮れの日に多摩川を訪れ、「それから忘れられなくなった」と語る。その後26歳のときに、多摩川の近くに住み始めた。

音楽も、とても自然的なものなんですよ。ピアノの演奏でも、手の動かし方や音を出すときの感覚が、自然に繋がると思っていて。たとえば、木の葉は風が吹くから揺れ動きますよね。葉っぱ自体が動くのではなく、風に揺られて自然に動く。だからピアノの音を出すときも、力を入れて音を出すのではなくて、力を抜いて自然の流れの中で弾くのがとても心地よいです。

木が倒れないように深く根を張っているように、ピアノも手だけで弾くのではなく、お腹の中心でしっかり軸を作り、手が自然に揺れるようなイメージで弾くんです。自然から学ぶ音楽のヒントは、とても多いですね。

2024年4月から移住している山梨の風景。息子が幼稚園に上がるタイミングで「子育てを都会でしていくべきなのか」「もっと息子とゆっくりする時間を取りたい」と悩んだことも、移住した理由のひとつだという。東京に住んでいた頃よりも、生活の中で自然が占める割合が大きくなり、ストレスが少なくなったと語る。

—自然のリズムというか、自然体な感覚で弾いていることで、音楽が生まれてくるのでしょうか?

自然な状態になっている方が、私が筒のようになりやすいのかな。私が音楽を作ってるというよりは、降りてきたものをキャッチしている感じなんです。でも、器としてまっさらになってないと、降りてきてくれなくて。というより、気づかないのかもしれないです。

私にとっての音楽は、日々の中での心の動きみたいなものを、その空気をそのまま音にするみたいな感覚なので、心が震えないと音楽が生まれないのかもしれない。その感覚は、満ちているときもあれば、深く潜っているときもあり、さまざまですね。『あえか』も、ほんの一瞬の場面を切り取ったような、心が震えた一瞬を並べた作品でした。

誰かを想うときの心って美しいなと思います

—『あえか』のCDには、楽曲『空に、美しく咲いて』に合わせて作られたお香が付いていますよね。まず『空に、美しく咲いて』は、どのような楽曲なのでしょうか?

いつも聴いてくださっている、ある女性の方がきっかけで生まれた、とても大切な楽曲です。

『あえか』の特設サイトでは、楽曲『空に、美しく咲いて』と香りに込めた想いが綴られている。

その方とはSNSで出会い、オンラインレッスンもしていました。あるときコンサートのチケットを申し込んでくださったのですが、メッセージでやり取りしていたお名前と違うことに気がついて。間違えたかなと思い伺ってみたら、それは空へと還られたお子さんのお名前だったんです。この話をすると、また泣いちゃうんですけど…。(再び涙ぐむ)

私も小さな子がいるので、いろんな気持ちが沸き起こり…。そのことを知ったとき、ピアノの前に座っていたので、祈るような気持ちでピアノに指を置きました。その時に生まれたのが『空に、美しく咲いて』です。空にいる大切な存在を想うとき、悲しみがある一方で、どこか穏やかで優しい気持ちにもなる。誰かを想うときの心って美しいなと思います。

『 空に、美しく咲いて』のMV。映像には、山梨への移住後に出会った風景が使われている。

なので、この曲は珍しく、自然から得たインスピレーションではなくて。人間だからこその感情や、人と人との間だから生まれる、自然的な美しいものから楽曲が生まれています。目に見えない存在となった魂が、お空で花のように美しく咲き、光の存在となることを、透明な心のうちでささやかに祈る。そのような想いが込められています。弾くたびに毎回泣いてしまうほど、それぐらい自分の中で、今までの曲とは違う大きさを感じています。

—お香については、なぜ付けようと思ったのでしょうか?

調香師の沙里さん(蕊 Sui)と、『水辺をつつむ』というワークショップを開催した時期があって。そこで、音と香りの可能性をすごく感じたんです。香りがあることで、音楽では届かない領域まで広がっていけるような感覚を覚えました。

Flussで2022年から1年間開催した『水辺をつつむ』の様子。「心の景色を色彩と音で描く」をテーマに、参加者が水彩色鉛筆で描いた作品を、香りと音楽で表現するワークショップ。水辺という単語は、詩人・茨木のり子(1926-2006)の詩「みずうみ」にある「人間は誰でも心の底に しいんと静かな湖を持つべきなのだ」「人間の魅力とは たぶんその湖のあたりから 発する霧だ」という内容に影響を受けたという。(撮影:Kasumi Osada[写真左]、Ryoko Nezu[写真右])

『空に、美しく咲いて』を初めて演奏したのが滋賀県の吉田邸で、そのときも沙里さんに香りで参加してもらいました。演奏しているときは「なみだ」というお香の香りが漂っていて、その時の空気があまりにも特別だったんですよね。私も泣きながら弾いてしまったのですが、普段泣かないような方まで涙を浮かべるくらい、お客さんの反応が深かったんです。

滋賀県・近江八幡にあるヴォーリーズ建築の指定有形文化財・吉田邸。楽曲『空に、美しく咲いて』が、初めて演奏された。(撮影:Ayumi Yoshida)

煙って、動きが自然的なものじゃないですか。演奏中も、生きているように空間を泳いでいたんです。香りだけど目に見えて、音や気持ちと重なっていく姿が本当に美しくて。

私はピアノを弾くとき、純粋な音の響きの美しさだけでなく、その先にある「見えない大切なもの」を音楽を通して響かせるという意識があります。音を通じて心の深いところにある感覚に触れることが、お香によって更に深まった気がしていて。だから『あえか』にも、オリジナルのお香を付けたいと思ったんです。

『あえか』のCD。お香は「あえか」の音、そしてYoko Komatsuの想いをもとに、”蕊”が植物から香りを蒸留・調香したものを、”東京香堂”がお香へと仕立てた。時間の経過とともに、香りが変化していくようになっている。(撮影:Ryoko Nezu)

—多くの人にとって、お香は亡くなった方を祈るときに嗅いでいる香りですよね。音と香りが同じ気持ちで重なったからこそ、心の深いところに触れられたのかなと思いました。

私も演奏会後、嗚咽するほど泣いていました。あんなに泣いたのは初めてでしたね。悲しみというよりも、心が震えてどうしようもなくて、溢れ出てくるような感覚で。演奏から一週間後も、その場面を思い出すだけで涙が溢れてくるほどでした。

キラキラしているけれど、深さもあって、冬の朝の空気みたいな音だった

—『あえか』はFlussで録音した最後のアルバムということで、Flussの8年間は小松さんにとって大切な期間だったと思います。Flussでの経験は、今の小松さんにどんな風に繋がってると思いますか?

東京・尾山台にある、2016年から2024年までYoko Komatsuが運営していたピアノアトリエ・Fluss。現在は”um”という名で、新しいオーナーにより、再びグランドピアノが置かれた音楽の場が運営されている。(撮影:Ryoko Nezu)

ひと言で言うのは難しいですが、Flussは私にとって、とても成長させてもらった場所です。さまざまな出演者から音楽や場との向き合い方を学びましたし、ピアノとの繋がりも深まりました。Flussは地下にあったので、自然に内側へ潜っていける場所でもありました。音楽と静かに1対1で向き合える時間が8年もあったのは、本当に幸せなことだったと感じています。

—Flussでのピアノの響きは、どのような音でしたか?

すごく豊かな響きでした。少し緊張感のある場所だったと思うので、日常的な音というよりは、透明な音という感じかな。透明で曇りがなくて、繊細な部分まで表現できる。キラキラしているけれど、深さもあって、冬の朝の空気みたいな音だったと思います。

—Flussと『あえか』を経て、今どんなことをやっていきたいと考えていますか?

『あえか』までの曲は、良くも悪くも「自分らしい音」や「Flussの音」など、「私の音は、こういう音」という感覚の中にいたのですが、そこから解き放たれたいと思うようになりました。なので、次に何が出るかあまり分かっていないんです。『あえか』よりも、もっともっとささやかで親密な子守歌のようなアルバムを作ってみたいとも思うし、誰かとのコラボレーションももっとやっていきたいです。

Yoko Komatsuとピアニスト・Daigo Hanadaとのコラボレーション作品『Where Clouds Are Born』。

自然のそよそよした感じのイメージでピアノを弾いてみたい

—2月28日(金)には『Music For The Story III – 読書と静かな即興演奏 – 』という、お客さんが読書してもいいというイベントに出演いただきます。読書は好きですか?

本という存在は好きですね。昔は苦手であまり読まなかったのですが、音大に行くと決めた高校2年生の終わり頃から毎週東京に行くようになり、電車での移動時間に本を読むようになりました。20歳ぐらいの頃に村上春樹に出会い、そこでぐっと本の世界に引き込まれていきましたね。練習するよりも本を読みたいという感じでした。笑

2002年に初版発行された、村上春樹の10作目の長編小説『海辺のカフカ』。15歳の少年「僕」が、不思議な世界を自ら行き来しながら、心の成長を遂げていく物語。村上春樹らしい独特の比喩表現をたっぷりと味わえる。Yoko Komatsuが村上春樹に没頭するようになった、きっかけの本。(撮影:石松豊)

「村上春樹は遠回しで苦手」という意見も聞きますが、私は説明的ではなく、さまざまな言葉で詩的に表現しているところが素敵だなと思っています。言葉の選び方や重ね方が好きで、次第に言葉への興味が増していきました。最近は物語の中に入るよりも、言葉から感じる世界観みたいなものに触れる方が好きになり、詩集をよく読みます。

Yoko Komatsuおすすめの本。左から、子どもの「神秘さや不思議さに目を見はる感性」を育むレイチェル・L. カーソン『センス・オブ・ワンダー』銀色夏生の詩集『すみわたる夜空のような』。2024年ノーベル文学賞を受賞した韓国人作家ハン・ガンによる、生後すぐに亡くなった姉の視点と街の記憶が交差する『すべての、白いものたちの』。(撮影:石松豊)

—感情やイメージを言葉で説明しきらずに、心で感じられる方が好きというのは、小松さんがピアノを弾くときの感覚とも近いのでしょうか。

その時の感覚をそのまま音にしているので、そうかもしれませんね。

2025年2月28日(金) 夜に東京・池袋の自由学園明日館で開催する音楽イベント『Music For The Story III – 読書と静かな即興演奏 – vol.4』のメインビジュアル。Yoko Komatsuがソロ演奏で出演する。

—9月のイベントに参加した方々から「小松さんの音楽を読書中に流しているよ」という声が多かったのは、小松さんが心の動きを音にしているから、読書中の心の動きとフィットするのだろうなと思いました。

なるほど、そうかもしれないですね。イベントでは、何かを表現するというよりも、自然のそよそよした感じのイメージでピアノを弾いてみたいと考えています。川辺で本を読むことが好きなので、自然の中にいるような音になるといいのかも。音楽によって自然に触れたような心の動きが生まれたらいいなと思いました。

自由学園明日館のラウンジホール。アメリカが生んだ巨匠フランク・ロイド・ライトによって建築された。1921年から歴史があり、動態保存の思想のもと音楽コンサートなど多くのイベントが行われている。写真右は9/27に開催された『Music For The Story III – 読書と静かな即興演奏 – vol.1』の様子(レポート)

プロフィール

Yoko Komatsu

Yoko Komatsu ピアニスト/音楽家。福島県、いわき市出身。武蔵野音楽大学大学院修了 。音楽に導かれるように、ピアノの世界へ。 ピアノをとおして気づいていった、"生きる"ということ、そして、目には見えない世界のこと。 根底にあるそれらの感覚に重ね、自身にとって大きな存在である自然にふれたときに感じたこと、日々を生きていくなかで心が震えた瞬間、空気を、そのまま音として残している。 2024年の春にリリースした3rd album「あえか」は、8年間運営していたpiano atelier Flussの最後の音として、透明な自然の気配と心の水辺の情景を"響き"としたアルバムであり、ひとつの集大成となった作品。 また、同年にリリースしたピアニストDaigo Hanadaと創作を重ねた「Where Clouds Are Born」は、自然の揺らぎのなかにある美しさをそのまま掬いあげたような作品となっている。 他、詩人や調香師などの表現者とのコラボレーションも多く、アーティストサポートや映像作品への楽曲制作など、活動は多岐にわたる。 "ただ、ここに在ること、満ちてゆくこと"を心深くに置き、現在は長く住んだ東京を離れ、山梨という自然のなかで音楽と新たに向き合う日々を送っている。

執筆・編集:石松豊

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